「月100時間を超える残業をしています。」
そんな過激なまでの長時間労働をしていた友人が努める会社も働き方改革以降、夜8時には完全消灯となり、今までのように終電まで会社への居残りができなくなったそうです。
電通の新入社員だった高橋まつりさんが過重労働、ハラスメントが引き金となって亡くなられた痛ましい事件があってから、長時間働かせることや精神的に追い詰める働き方に少しずつメスが入ってきたと思います。
高橋まつりさんが自殺したのが2015年とあれから3年経ちました。大手広告代理店、高学歴で優秀な女性がなくなったセンセーショナルともいえる事件があったからこそとも言えるのかもしれません。
上記で書きました友人の会社以外、僕の周りの会社でも働き方が変わろうとしているし、今、その変わる段階だと思っています。
そんな働き方改革の過去から未来にどうなっていくのかをまとめたく、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
2015年を境目にして、変化した労働観
僕が会社員になったのは2010年、当時、僕はゴリゴリの体育会系商社にいたので宴会の席での一発芸を求められたり、新入社員が休み返上でダンスの練習をして、忘年会でお披露目など、営業系の会社ではよくあるのは一通りやってきました。
飲み会中に上司から説教された後に身体がくの字に曲がるくらいの蹴りを食らったことだってありました。
これは過度なパワハラというか暴力、犯罪にあたるので極端な例です。
そんな以前いた会社も働き方改革の余波があり、新入社員への飲み会での強制は一切なくなり、僕をぶん殴ったり、蹴った上司は部下をつけない部隊に左遷されたと聞いています。
この左遷された元上司については、僕がやめたあとに入った部下たちにパワハラを続けたことが社長含め担当役員などの上層部に発覚して処分されましたが、そこまでに5年も時間がかかっています。
その間にやめたり、心を病んでいった人たちを見てきた方からすると、ここまで長期間の独裁、暴力をしなければ左遷されなかったのはその元上司は極めて優秀な営業だったからというのもありました。
営業系の会社ではめずらしいことではなく、売れている営業は何をやっても許されがちです。
他人に迷惑をかけない範囲で好き放題やってもらう分にはとやかく言う気もありませんが、それが立場の弱い新入社員・後輩いじめをするのは僕が見ている中では少なくありませんでした。
今までは結果が出ていれば周りの賞賛されていました。
これからは、結果を盾にしちえ過度のハラスメントをするとどんなに優秀だろうと、閑職に追いやられる可能性が増したといえるでしょう。
とりわけ、裁判になったり、ネット上に公開されたりで炎上して企業価値を下げることだってありえるのですから。
働く時間はどんどん短くなっていく
プレミアムフライデーが始まって1年以上が経ちます。
毎月の最終金曜日は早上がりをして、家族と外食をしてお金を使ってもらう経済効果、私生活を充実させようという試みで始められた制度ですが、プレミアムフライデーを実施している企業は4.6%とまだまだ低いのが実情です。
実際に早上がりできている人は5%を切っていますが、政府としても私生活を充実させて、余暇ができることで経済効果も期待できる制度を作ろうと動いています。
プレミアムフライデーがはじまったことは、これから個人個人の働き方がどんどん柔軟にしていこうとする意識づけの1つとして僕はありだと思っています。
まだまだ、広まらないプレミアムフライデーを批判したり、意味のない制度というのもわかりますが、こういう仕事で拘束される時間を短くする試み自体が今までになかったのですから賞賛すべきだと思います。
男性でも育児休暇が取れるようになる
最近の話ですが、僕の取引先の企業で育児休暇を取っている男性を初めて見ました。
上場一部の企業ではなく地方に本社がある大きいと言えないメーカー、それも営業職でした。
その営業さんは1ヶ月と短い期間でしたが、育児で大変な時期に奥さんに寄り添えてよかったし、自分自身、育児の大変さも少しだけどわかったということから、男性の育児休暇を取る必要性あるのかもしれません。
男性の国会議員が育児休暇を取る、など政治的メッセージを込めたように感じたのはありますが、30台の若い総合職の男性が育児休暇を取るなんて少し前では考えられなかったと思います。
制度として男性でも育児休暇を取れたとしても、育児休暇後に復帰すると不当な人事異動が行われるというケースもあると聞きます。
僕の彼女の勤めている会社ですが、女性が産休、育休を取ろうとすると追い詰めて会社を退職にまで追い込むそうです。
こんなことをしていると、その会社で長期間培ってきたスキルを持った社員が安心して働けず、能力がある人ほど、真っ当に産休、育休が取れる企業に移るのは当然だと思います。
そう遠くない未来、男性も育休を取ったり、産休・育休が制度として活用されない会社は厳罰化されたりするのかもしれません。
有給休暇が取りにくい、とりやすくなるのはまだまだ先か?
今勤めている会社は比較、有給が取りやすいです。
以前いた会社は風邪で休むだけで、上司がしつこく休むほどの病気か確認してきたり、診断書を提出するように言われたりすることがしょっちゅうでした。
病気をすれば、治療費、薬代だけでなく、診断書を書いてもらう費用が¥3,000とどんどん貧乏になっていきました笑
ちょっとした病気くらいだと会社に出て働くのが美徳とする、取引先などでもまだまだ残っているように感じます。
僕もちょっとした風邪くらいなら休まずに無理して出社しますし、中にはひどいとインフルエンザにかかっても出社してくる人もいて、それってテロに近いですよね。
病気で身体が辛いのに無理をしてでも仕事に出なければならない問題の根底にあるのは、ギリギリの人数で仕事を回しているという点にあります。
フルキャパで毎日20:00まで処理しないといけない仕事があれば、誰かが抜けた穴、追加の仕事を受けることは難しいです。
各人、持ち時間がない将棋を打たされているような感覚に近いと思います。
誰かが休んだら、みんなで少しずつ力を出し合ってカバーできる、その少しの余力すらない会社・部署がほとんどじゃないでしょうか。
上場一部で社員数を多く抱えていて、適度に人事異動があるような流動性がある会社は別として、街場にある中小・零細企業だとフリーで余裕のある一般社員ってなかなかいません。
その割に、何してんだかよくわからない給料泥棒がいたりもしますが、それはまた別の機会に書きたいと思います。
欧州だと長期間夏休みを取ってたりするのを考えたら、日本だって有給をとったからといって生産性が著しく減ることはないと思うのですよね。
確かに、土嚢を一袋ずつ部屋の端から端まで運ぶ作業が仕事だとするなら、休みがなく労働時間が長ければ長いほど多く運べますよね。
でも、そんな単純な仕事はどんどん機械に変わっていますし、知的労働(頭がいいというより工夫して、効率的に物事を回す的な意味合い)により偏っていくはずです。
知的労働は成果が時間と完全に比例していないからこそ、単純に生産性が減ることもないと思うのです。
むしろ、限られた時間の中で最大の成果を出せるような、理想論ですがそのような形になっていくはずです。
労働人口が減り、スキルのある人材が重宝される時代になる
2000年に6,766万人だった労働人口ですが、2017年には6,188万人と600万人近くも減少しています。
中でも15〜19歳未満の労働人口が2000年は1,588万人だったので、2017年では1,163万人とおおよそ3割近く減少しています。
少子高齢化の影響もあり、これからどんどんと若い働き手が少なくなっていくのがわかります。
単純労働、力仕事でモノを運ぶや刺身の上にたんぽぽを乗せ続けるような仕事はどんどん減っていて、人でなければオペレーションできない仕事ほど人手不足になっていくと思います。
たとえば、営業なんかはその最たるもので、人が何を欲しているかその本人すらわかっていないことがほとんどです。
それを気づかせる、人によっては押し付けになってしまいがちな面もありますが、親しみや良い方向に感情を動かしながら相手に価値を伝えるような仕事は今後は残っていくと思います。
スキルをもった人材が大事にされるのは今もそうですが、今後は人口自体が減るのでもっと貴重になっていき手放さないというより手放せなくなり、給料以外においても待遇も上がっていき働きやすくなるのではないでしょうか。
最後に
今まで、働いている時間が長ければ頑張っている風潮がある会社も少なくなかったと思います。
これからそのような私生活を投げ打って仕事をする24時間働けますか?のような働き方自体が見直されていくと僕は思っています。
もちろん、上記書いたのはかなり楽観的かつ希望的でこれから労働時間が少なくなり、スキルのある人材は正当に評価されるといったものですが、日本の経済力が他国に比べて相対的に低下したとするなら、はたしてどうなるのでしょうか。
個人個人で生き残るため、より良い生活をするためにどんなスキルがいるのかを自分で考えなければならないなんとも難しい時代だと感じます。
僕は今ある仕事を丁寧にやるのはもちろん、こうして文章を書いたり、私生活も趣味を継続して楽しめるようにできればと思います。
長くなりましたが、働き方が変化している最中であるからこそ、今後もこの問題は考えていきたいと思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。